第6回 【絶対にマスターしておきたい英語表現法 with + O + ~ ing】
What is “with + O + ~ ing ~” ?
金融メディアの中で、世界的にも歴史と伝統があり、その存在感は英国が誇る世界の金融・経済新聞といっても過言ではない Financial Times。その記事の中に、
The stock markets collapsed, with investors fleeting to safe haven assets.
との英文がある。
これは、
「株式市場は暴落し、投資家は安全資産へ逃避した。」
との訳だ。
さて、ここで見過ごしてはいけない、とても大切な英語表現は、with investors fleeting ~、つまり、with + O + ~ ing の形が登場している点である。実は、この with + O + ~ing は、英文ライティングにこだわる人であれば、必ずマスターしておきたい最重要英語表現法の1つである。
the stock markets collapsed (株式市場が暴落し)、の後に with ~ が来る。ここでの前置詞 with は、「そして」、「その結果」、「一方で」、「それと同時に」などの意味を表し、 つまり and、as a result、while などの接続詞の言い換えとしてもとらえることができる。また、その方が、特に日本人には使い慣れているはずだ。
仮にこれら接続詞を使って言い換えれば、
The stock markets collapsed, and investors fleeted to safe haven assets.
The stock markets collapsed, and, as a result, investors fleeted to safe haven assets.
The stock markets collapsed while investors fleeted to safe haven assets.
となり、確かにこれらも正確な英文ではある。
それでも、これら and、as a result、while などの接続詞のみを使ってしか英文が作れないようでは、ワンランク上の翻訳とはならない。金融翻訳に限らず、上質な翻訳や英文ライティングを追求する人にとって、with + O + ~ ing の形で文脈をつないでいく手法の修得は must なのである。この重要性はいくら強調してもし足りないくらいである。with + O + ~ ing は、上述の Financial Times や The Economist、The Wall Street Journal などでももちろん、洋書やその他ありとあらゆる金融・経済分野のネイティブライティングで、これでもかっていうくらい頻出するのである。だからこそ最重要英語表現法の1つであると、筆者は自信をもって主張したい。
しかし悲しいかな、翻訳者をはじめとした日本人の多くがこの with + O + ~ ing の表現を使いこなせていないのが実状である。目にしたことはあるし、なんとなくは知っているかもしれない。ただ、その正確なニュアンスや意味合いがきちんと頭の中で整理できていないので、適切に使いこなせない、ということがあるようだ。
【付帯状況を表す第5文型 with + O + C はあくまで基本形】
またここで筆者が強調しておきたいのは、この with + O + ~ ingにおいて、受験英語で必修であった付帯状況(状態を伴って: ~しながら)の with、つまり第5文型 with + O (Objective: 目的語) + C (Complement: 補語) の形のことのみを指しているのではないということだ。
この付帯状況を表す第5文型 with + O + Cとは、
などのイラストのような描写/表現に代表される。
基本概念をさらに復習しておこう。
<with + O + Cの基本例文>
「彼は目を閉じて、その講義を聞いていた。」
He was listening to the lecture with his eyes closed.
C (complement: 補語) の箇所には、目的語O と同格関係にある、形容詞、現在分詞、過去分詞、前置詞句などが来る。
参考までに、例文にてその活用を確認しておこう。
< C (complement: 補語) の用例確認>
Cが形容詞の場合
「彼は、耳をそばだてて、その講義を聞いた。」
He was listening to the lecture with his ears alert.
Cが現在分詞の場合
「彼女は、床に右手をつけて、座っていた。」
She sat with her right hand touching the floor.
Cが過去分詞の場合
「彼らは、教科書を閉じて、先生と活発にディスカッションをした。」
They had a lively discussion with their teacher with their textbooks closed.
Cが前置詞句の場合
「母親は、赤ちゃんをベッドに寝かせて、部屋の掃除をしていた。」
The mother was cleaning the room with her baby on bed.
以上、これらは、付帯状況(状態を伴って: ~しながら)の with である。
とてもおなじみの英語表現であるが、あくまで本稿で深堀りしていく with + O + ~ ing の基本形という位置づけにとどまる。
筆者が本稿で最重要英語表現法の1つとして取り上げたい with + O + ~ ing とは、この付帯状況 with + O + C からさらに飛躍し、より柔軟な発想に基づく使い方をする。
with + O + ~ ing の定義
本ブログでおなじみの英英辞典にて、with + O + ~ ing の with の繊細なニュアンスを確認してみると、
【with の英英辞典での定義】
Collins Dictionary:
You use “with” when mentioning the position or appearance of a person or thing at the time that they do something, or what someone else is doing at that time.
Oxford Dictionary:
because of
as a result of
because of something and as it happens (~にともなって、つれて)
despite something
などと定義されている。
まとめると、while の定義が軸となり、次の5つまで定義はさらに広がる。(頻度順)
【with の5つの定義】
① while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に
② and = そして
③ as a result = 結果として
④ because = (理由、原因) ~なので、~のため
⑤ although、despite = ~にもかかわらず、~だが
ここで大事なのは、ある1つの定義に固執し、硬直 (rigid) した発想にならないことだ。ある文の中で with + O + ~ ing が登場した時、この with を①の定義で解釈できるし、同時に②や③の定義でも解釈できることも多々ある。
つまり、①~⑤の定義は必ず頭に入れておくとして、常に柔軟 (flexible) な発想と解釈が、この with + O + ~ ing を使いこなす秘訣であることには留意しておきたい。
以上をふまえ、再度、冒頭で参照した英文に戻ると、
The stock markets collapsed, with investors fleeting to safe haven assets.
(株式市場は暴落し、投資家は安全資産へ逃避した。)
の場合も、with でつないでいく際、株式市場が、「暴落する中」、「暴落する一方で」、「暴落し、そして」、「暴落し、その結果」などいずれの解釈も可能である。常に柔軟 (flexible) な発想と解釈が要諦であることが、この例文だけでもわかるだろう。
またこうした with の多用性こそが、そもそもwith + O + ~ ing の形が最重要英語表現法たる所以である。つまり、逆に「暴落する中」、「暴落する一方で」、「暴落し、そして」、「暴落し、その結果」などのニュアンスを含む日本文を翻訳したい時、これだけの解釈が可能であれば、訳語に迷ってしまう。そんな時に、万能な with + O + ~ ing を使ってしまえば、一瞬で解決してしまう。with + O + ~ ing さえ使っていれば、その英文の読み手が文脈に応じて自由に解釈してくれるからだ。おまけにネイティブ好みの流暢性も申し分ない英文となること請け合いである。
with + O + ~ing の構造
あともう1点だけここで確認しておきたいことがある。
それは、with + O + ~ ing の構造のことである。
筆者のブログの読者は、ある程度の英語力が前提となっていることもあるので、構造の説明は不要かもしれないが、念のため確認しておきたい。
前の章でもふれた付帯状況を表す第5文型 with + O + C の構造とも重なるが、
付帯状況を表す第5文型 with + O + C = with + O + (being) + C
のことであり、O と C の間に being が省略されている構造である。
He was listening to the lecture with his eyes closed.
⇓
He was listening to the lecture with his eyes being closed.
ということであり、このままでも英文として間違いではない。
さらに1歩踏み込んで補足すれば、
with his eyes being closed = his eyes are closed
の分解が成立し、his eyes の主語に対して、are closed として、述語 (動詞) と補語の関係が成り立たなくてはいけいない。
例えば、
with his eyes closing = with his eyes being closing = (with) his eyes are closing
his eyes are closingという英文は間違っており、with his eyes closing の第5文型は成立していない。よって、この with + O + C の使い方は不正確である。
同様に、より応用的な with + O + ~ ing の構造も、O と ~ ing の間に、主語と述語 (動詞) の関係が成立していなくてはいけない。
冒頭で参照した英文を例にとると、
The stock markets collapsed, with investors fleeting to safe haven assets.
with investors fleeting to safe haven assets = (with) investors fleet to safe haven assets
として investors と fleet の間には主語と述語 (動詞) の関係が正しく成立している。
この場合は能動態である。
例えば、次のように safe haven assets を O のところにもってくると、どのようになるだろうか。
The stock markets collapsed, with safe haven assets (being) sought after by investors.
となり、with の後は、with safe haven assets (being) sought after by investors へと変化し、
with safe haven assets (being) sought after by investors = (with) safe haven assets are sought after by investors
として、safe haven assets とsought after の間には主語と述語 (動詞) の関係が正しく成立している。
この場合は受動態である。
また、後者の受動態の場合は、with + O + (being) + p.p. (過去分詞) という形となるが、ここで大切なことは、being は、基本的にはつけても、つけなくても、どちらでも大丈夫ということ。さらに言えば、with + O + ~ ing の形をより強く意識する場合は、~ ing のところに being が来るということで、ネイティブも being を残すケースが多くあるということだ。
こうした考え方も、柔軟に理解し、対応していきたい。
with + O + ~ ing の用例
用例を確認していく際、with の活用の定義に応じたある程度の整理が必要だろう。
その定義について、前述の 【with + O + ~ ing の定義】の章では、while の定義が軸となり、次の5つまで定義はさらに広がる、(頻度順)と説明した。
【with + O + ~ ing の5つの定義】
① while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に
② and = そして
③ as a result = 結果として
④ because = (理由、原因) ~なので、~のため
⑤ although、despite = ~にもかかわらず、~だが
その際、①~⑤の定義は必ず頭に入れておくとして、同時に複数の定義で解釈できることも多々あるため、1つの定義に固執し、硬直 (rigid) した発想にならないよう、常に柔軟 (flexible) な解釈が、この with + O + ~ ing を使いこなす秘訣であることにもふれておいた。
そのため、① ~ ⑤ へと分けて、クリアカットに整理した用例の確認は難しいのであるが、無秩序過ぎても学習しにくいため、with の定義と活用に応じて、次のように大まかに分類してまとめていきたい。
【with + O + ~ ing 5つの定義に基づいた6つのパターン】
- while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に
- while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に
or
and = そして - while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に
or
and = そして
or
as a result = 結果として - with + O + ~ing が文頭で使われる形
- with + O + being + p.p. (過去分詞) あるいは C (補語) 等の形
- with + O + 複数の ~ing が続く形
1. while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に
それでは、with + O + ~ing の一番基本となる、while の定義での用例を確認しよう。
この with + O + ~ ing を使った筆者によるオリジナル模範翻訳での練習に入る前に、まずは金融分野において with + O + ~ ing を使う上で、その authenticity (真正性) を確保するために、Financial Times 内で実際に掲載されている記事からその用例を見ておきたい。
<Financial Times からの実用例①>
A dramatic gap has opened in how banks and the bond market perceive the health of corporate America, with banks setting aside billions against bad loans even while bond prices suggest a dramatic recuperation from the Covid-19 shock.
<対訳>
銀行と債券市場との間で、米国企業における健全性の認識のしかたに非常に大きな乖離が生じており、債券価格がコロナショックからの劇的な回復を示唆している一方で、銀行は不良債権に対し数十億ドルの引当金を計上している。
<Financial Times からの実用例②>
The shift in pricing has accompanied a broader sell-off in global high-grade bond markets, with investors anticipating an economic rebound in 2021 as vaccinations allow economies to reopen, potentially accompanied by higher inflation.
<対訳>
投資家が、2021年にはワクチン接種によって経済が再開し、インフレ率が上昇する可能性があることから景気は回復すると織り込む中、世界のハイグレード債券市場の急落がより広範に発生し、それに伴い債券価格は変動した。
これらは Financial Times で使われているほんの一部であるが、100年以上もの間、国際金融界のメディアとして不動の地位を築く同誌でも頻繁に登場することは知っておきたい。
次に with + O + ~ ing を使った筆者によるオリジナル模範翻訳で、さらに応用力、創造力、発想力を高めるための実践練習をしておこう。
※原文の内容はすべて筆者のオリジナルである。日々世界で起こる膨大な情報ソースを基にしての着想により、金融、経済、社会情勢、あるいは数値などを含め、筆者独自の言葉で創作したnon-fiction (ノンフィクション) もあれば、fiction (フィクション) もある。
※ 翻訳の難易度を高める趣旨により意図的に日本文を長くしていることもある。
【筆者によるオリジナル模範翻訳】
翻訳練習①
<原文>
新型コロナウイルス感染者数の上昇で世界中の株価が急落し、投資家が既存の不確実性に加えて、ボラティリティの上昇を警戒する中、安全避難先債券の上昇が続いた。
<筆者の模範翻訳>
Global stocks plunged due to Covid cases climbing, and haven bond rally stretched on, with investors bracing themselves for higher volatility, on top of pre-existing uncertainties.
翻訳練習②
<原文>
新型コロナウイルスの脅威が継続していることを背景に、労働市場の改善は低調に推移しており、新たに100万人以上のアメリカ人が失業給付金を申請している。
<筆者の模範翻訳>
Against the backdrop of the ongoing Covid-19 threat, improvement in the labor market has remained sluggish, with one million more Americans claiming benefit.
翻訳練習③
<原文>
5月の景気の底入れ以降進んできた、米労働市場の回復が失速するリスクがあるとの懸念が高まっている中で、同経済レポートが発表され、依然ウイルスは全国に急速に広がり、景気刺激策は息切れ感が出ている。
<筆者の模範翻訳>
The economic report was released in the midst of rising concerns that the recovery made in the US labor market after the economic trough in May is at risk of stalling, with the virus still spreading rapidly throughout the country and fiscal stimulus waning.
翻訳練習④
<原文>
同社は、新型コロナウイルスに起因する株式市場暴落の中で、30%の株価下落に見舞われた後、経費削減努力の強化を余儀なくされている。 株式市場の恐怖指数は上昇し、リスク回避的な投資家が国債に群がる中、セクター全体で売りが出て大打撃を受けた。
<筆者の模範翻訳>
The company has been forced to ramp up its cost-reduction efforts after suffering a 30% drop in its stocks during the coronavirus-induced market rout. It was hit hard by the sell-off across the board in the sector, with stock market’s fear gauge rising and risk-averse investors flocking to government bonds.
<原文>
次期バイデン政権は、トランプ政権の間にすでに承認されていた新型コロナウイルス対策の経済刺激策に加えてさらに追加の1.9兆ドルを提案している中、世界の株式市場では、米国の財政刺激策への期待もあり、リスクセンチメントはポジティブに転じました。
<筆者の模範翻訳>
Risk sentiment was more positive in global equity markets, partly on expectations for US fiscal stimulus, with the incoming Biden administration proposing an additional $1.9tn on top of the COVID stimulus packages already approved during the Trump administration.
翻訳練習⑥
<原文>
ユーロは2021年の年初から下落しており、この24時間で、投資家の関心はBrexitから、多くの欧州地域でフルロックダウンが発表されたことが重しとなっているユーロ圏経済へと急速にシフトしている。
<筆者の模範翻訳>
The euro has suffered losses at the start of 2021 with investor focus swiftly shifting from Brexit to the eurozone economy which was burdened by the announcement of full lockdowns in many parts of the regions over the past 24 hours.
<補足説明>
ここでの with の活用の定義は、while が基本とはなるが、as a result of あるいは because of でのニュアンスもここでは、通用するだろう。
その場合、例えば (分かりやすくするため、直訳調で表せば)、
as a result of ~ のケース:
「この24時間で、投資家の関心はBrexitから、多くの欧州地域でフルロックダウンが発表されたことが重しとなっているユーロ圏経済へと急速にシフトしている結果、ユーロは2021年の年初から下落している。」
because of ~ のケース:
「この24時間で、投資家の関心はBrexitから、多くの欧州地域でフルロックダウンが発表されたことが重しとなっているユーロ圏経済へと急速にシフトしているため、ユーロは2021年の年初から下落している。」
などの解釈が可能となる。
以上、with + O + ~ing の一番基本となる、while の定義での用例を紹介してみた。
2. while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に or and = そして
次は、while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に or and = そして の定義での用例を確認しよう。
<Financial Times からの実用例①>
With US media reporting almost 80 per cent of the vote counted, the outcome was still too close to call.
<対訳>
米メディアの報道によれば、投票数のおよそ80%がカウントされ、結果は依然あまりにも僅差で勝敗の予測がつかない。
<補足説明>
この用例を補足説明すれば、「米メディアの報道によれば」 の箇所は少し意訳しているが、「米メディアが、投票数のおよそ80%がカウントされたと報道しており、そして ~」 との解釈もできるし、「米メディアが、投票数のおよそ80%がカウントされたと報道する中、~」 などとも解釈可能というタイプのwith + O + ~ing の形である。
<Financial Times からの実用例②>
Saudi Arabia has pledged to slash an extra 1m barrels a day of oil output in February and March even as Russia moves to increase production, with the kingdom moving to keep the OPEC+ group’s fragile alliance intact in the face of the coronavirus pandemic.
<対訳>
サウジアラビアは、ロシアが増産に動く中、2月と3月の原油生産量を追加的に日量100万バレル削減することを約束し、コロナウイルスのパンデミックに直面していても、OPECプラスグループの脆弱な同盟を維持するために同王国が動いている。
<補足説明>
主文である Saudi Arabia has pledged to slash an extra 1m barrels a day of oil output in February and March even as Russia moves to increase production との文脈的関係において、with the kingdom moving ~ の中で、while あるいは and のニュアンスでの解釈が可能だ。
それでは、while あるいは and の定義での with + O + ~ ing を使った筆者によるオリジナル模範翻訳で実践練習だ。
【筆者によるオリジナル模範翻訳】
翻訳練習①
<原文>
現在のペソの暴落を受けてアルゼンチン政府の緊迫感が高まっていることから、2019年の通貨危機以来融資している500億ドルを再構築するためのIMFとの合意が、市場参加者が想定していたよりも早期に行われる可能性があるとの憶測を呼んでおり、彼らの多くは当初、2021年の5月か6月での合意を予想していた。
<筆者の模範翻訳>
A growing sense of urgency in the Argentina’s government in light of the peso’s current gyrations, has led to speculation that an agreement with the IMF to restructure the $50bn it has lent since a currency crisis in 2019 could be made sooner than market participants had assumed, with many of them initially expecting a deal by May or June in 2021.
翻訳練習②
<原文>
投資家心理を読むうえで信頼できる指標である公定為替レートと非公定為替レートの乖離が驚くほど拡大している。 米ドルの闇市場での価値は、7月上旬の120ペソ前後から9月下旬には200ペソを超えるまでに急騰した。 一方、公定為替レートは相対的にもっとゆっくりと推移しており、7月以降は68ペソから75ペソへとじりじり上昇している。
<筆者の模範翻訳>
The divergence between the official and unofficial foreign exchange rates, a reliable indicator of investor sentiment, has widened alarmingly. The greenback’s black market value moved into stratosphere from around 120 pesos in early July to over 200 pesos in late September. In the meantime, its official exchange rate has moved much more slowly, with the buck edging higher since July from 68 pesos to 75 pesos.
翻訳練習③
<原文>
新型コロナウイルス感染拡大の再燃は、英国では後退している中、安全で効果的なワクチンが来年広く普及する可能性の高まりによって先行きの楽観論が強まっており、多くの企業が、過去数ヶ月間以上に、将来に大きな自信を抱いていると報告している。
<筆者の模範翻訳>
Whilst a resurgence of coronavirus infections has been a setback in the UK, the increasingly likely prospect of a safe and effective vaccine becoming widely available next year has sparked optimism, with many companies reporting that they have greater confidence in the future than in the past several months.
翻訳練習④
<原文>
1週間にわたるOPECプラスグループの閣僚級会合で、OPEC/非OPECの初の減産合意にいたったことを受け、原油価格はおよそ7%上昇し、米国のベンチマークであるウェスト・テキサス・インターミディエイトは、3ヶ月ぶりの高値である1バレル49ドルに達し、ブレント原油は、1バレル55ドルを超えて急上昇した。
<筆者の模範翻訳>
Oil prices surged approximately 7% with the US benchmark West Texas Intermediate reaching $49 a barrel, the highest level in three months, and Brent crude climbing sharply above $55 a barrel as a week of talks between ministers from the OPEC + group led to the first OPEC/non-OPEC production cut agreement.
翻訳練習⑤
<原文>
この発表はそのコモディティ最大の生産企業の株価を押し上げ、ヨハネスブルグに上場している同社の時価総額は5月の安値から200%近くも急上昇した。
<筆者の模範翻訳>
The announcement has propelled stocks of the largest commodity producers, with the Johannesburg-listed company’s market value rocketing almost 200 per cent since its May low.
翻訳練習⑥
<原文>
かつて世界で最も成功しているヘッジファンドの1つとして知られていた同ヘッジファンドは、この3年間で資産がおよそ70%減少し、大打撃を受けており、低いリターンと顧客の解約は、厳しい2020年に拍車がかかっている。
<筆者の模範翻訳>
The hedge fund, once known as one of the world’s most successful hedge fund firms, has hit hard by a nearly 70 per cent drop in its assets over the past three years, with poor returns and client withdrawals accelerating in a tough 2020.
翻訳練習⑦
<原文>
ここ数ヶ月力 強く上昇している英国ポンドは、本日、対米ドルで0.8%下落し1.3502ドルとなる中、ユーロは0.5%下落して1.3507ドルとなった。
<筆者の模範翻訳>
Britain’s pound, which has rallied strongly over recent months, slipped 0.8 per cent against the greenback today to $1.3502, with the euro falling 0.5 per cent to $1.3507.
翻訳練習⑧
<原文>
ポンドは現在、投資家センチメントの動向と正の相関関係を示しており、ユーロとドルに対する今日の上昇は、強気の株式市場と相関している。
<筆者の模範翻訳>
The Pound is currently displaying a positive correlation to trends in investor sentiment, with today’s gains against the Euro and Dollar correlating with a bullish stock market.
翻訳練習⑨
<原文>
富裕層投資家は、新型コロナウイルスのリスクをものともせず、投資目標に積極的な姿勢で臨んでおり、彼らの多くが市場が暴落したときに株式を購入するなど、金融界を襲う嵐をうまく切り抜けている。
<筆者の模範翻訳>
High-net-worth investors have taken aggressive attitude toward investment objectives in face of the Covid-19 risks, and they have navigated through the financial storm well, with many buying stocks in the market swoon.
以上、while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に
or
and = そして
の定義での用例を紹介をしてきた。
3. while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に or and = そして or as a result = 結果として
今度は、while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に or and = そして or as a result = 結果として の定義での用例をおさえておこう。
<Financial Times からの実用例①>
India’s conglomerates are a defining feature of the country’s economy. The Tata Group until recently had more than 100 operating companies providing everything from coffee to IT. Reliance Industries and Adani are expanding into a growing range of business areas including telecoms and airports. The concentration of corporate power under Mr Modi has increased, with some fretting that an age of entrepreneurship is giving way to an age of corporations.
<対訳>
インドの財閥は、同国経済を説明するうえで重要な役割を担っている。タタ・グループは、最近までコーヒーからITまで100社以上の事業会社を展開していた。リライアンス・インダストリーズとアダニは、通信や空港などの事業領域を拡大している。 モディ氏の下では企業権力の集中が進み、起業家精神の時代が企業の時代に取って代わった、と危惧する声もある。
<補足説明>
最終行の 「モディ氏の下では企業権力の集中が進み、起業家精神の時代が企業の時代に取って代わった、と危惧する声もある」 の箇所で、「モディ氏の下では企業権力の集中が進む中、~ 危惧する声もある」 と解釈したり、「モディ氏の下では企業権力の集中が進み、そして~ 危惧する声もある」 とも解釈でき、あるいは 「モディ氏の下では企業権力の集中が進んだ結果、~ 危惧する声もある。」 と解釈しても不自然ではない。
<Financial Times からの実用例②>
彼は超低金利が継続すると見込んでおり、それによって現金で資金を維持するには収益性がないが、レバレッジド投資するには資金を安く借入れることができる。UBSの報告書によれば、平均16億ドルの富裕資産家ファミリー純資産を保有する121のファミリー・オフィスを対象にした調査に基づいており、富裕層の投資家は危機下でも非常に積極的で、35%の投資家が15%以上ポートフォリオのリバランスを行っていた。
<対訳>
He predicted interest rates to remain very low, making it unprofitable to keep money in cash and cheap to borrow funds for leveraged investments. The UBS report, based on a survey of 121 family offices with an average family net worth of $1.6bn, found wealthy investors were very active in the crisis, with 35 per cent rebalancing their portfolios by 15 per cent or more.
<Financial Times からの実用例③>
Plans by the Labour party to nationalise swaths of the UK’s telecommunications infrastructure have intensified a sense of alarm in the utility sector, with investors scrambling to protect their holdings in case the December 12 election leads to a Jeremy Corbyn-led government.
<対訳>
労働党が英国の通信インフラの大部分を国有化する計画を立てたことにより、公益事業部門への警戒感が強まっており、12月12日の選挙でジェレミー・コービン政権が誕生した場合に備えて、投資家は保有資産の保護に奔走している。
それでは、while、and、あるいは as a result of ~ の定義での with + O + ~ ing を使った筆者によるオリジナル模範翻訳で実践練習だ。
【筆者によるオリジナル模範翻訳】
翻訳練習①
<原文>
投資業界は今日、とてもはっきりと異なった市場であるようだ。オプション売り戦略は、かつては大抵それらに特化したヘッジファンドによって実施されていたが、現在は広く普及し、個人投資家でさえ、オプション取引に参加している。
<筆者の模範翻訳>
The investment industry clearly seems to be in a very different market today. Option writing strategies were once largely implemented by hedge funds specializing therein, yet they are much more prevalent now, with even retail investors getting involved in the options trading.
翻訳練習②
<原文>
ESG投資家は、環境問題に配慮した同石油会社の行動を歓迎し、同社の株式は月曜日の前場で6%も跳ね上がった。
<筆者の模範翻訳>
ESG investors welcomed the oil company’s actions to take a heed to environmental issues, with its shares jumping as much as 6 per cent in early trading on Monday.
翻訳練習③
<原文>
同国政府の借入コストはじりじりと上昇しており、今月、10年物利回りは0.20%から上昇し、0.50%で取引されているが、これはここ数ヶ月の債券市場を支配していた極端な悲観論が薄れてきていることを反映している。
<筆者の模範翻訳>
The country’s government borrowing costs have been creeping up, with the 10-year yield trading at 0.50 percent, up from 0.20 percent this month, which mirrors a fading of the extreme pessimism that gripped bond markets in recent months.
以上、
while = (同時進行的に)~する間、~する中、~すると同時に
or
and = そして
or
as a result = 結果として
の用例を取り上げてみた。
4. with + O + ~ ing が文頭で使われる形
ここでは、with + O + ~ ing が文頭で使われるケースにフォーカスしてみたい。
with + O + ~ing の形は、文尾に置かれることが多いが、文頭大文字で登場することもある。
その場合も、while のニュアンスを軸とした5つの定義で活用される。ただ、傾向としては、④ because = (理由、原因) ~なので、~のため
のニュアンスも含めた使い方が、文尾に置かれる時以上に、多くなる印象はある。
さっそくFinancial Times からの用例を参照してみよう。
<Financial Times からの実用例①>
With multiple vaccines showing positive results, investors have looked past the present surge in coronavirus cases globally and the reimposition of lockdown measures to stop the pandemic’s spread. They have instead shifted their attention to the potential rebound in growth that will pave a path to higher inflation.
<対訳>
複数のワクチンが良好な結果を示していることから、投資家は世界的にコロナウイルスの症例が急増していることや、パンデミックの拡大を阻止するためのロックダウン措置の再導入には目を背けている。それよりむしろ、彼らはインフレ上昇へとつながる成長率の潜在的な反発に注目している。
<補足説明>
With multiple vaccines showing positive results ~ が文頭で使われ、「複数のワクチンが良好な結果を示していることから ~」 (because of ~ のニュアンス) と訳したり、「複数のワクチンが良好な結果を示しているので ~」 (because of ~ のニュアンス)、「複数のワクチンが良好な結果を示している中 ~」 (while のニュアンス)、「複数のワクチンが良好な結果を示しており、そして ~」 (and のニュアンス)、あるいは 「複数のワクチンが良好な結果を示している結果 ~」 (as a result of ~ のニュアンス) などなどの解釈が可能だ。
<Financial Times からの実用例②>
With central banks systematically rigging markets, the resulting ultra-low interest rates pose risks to the structure of investors’ portfolios.
<対訳>
中央銀行が組織的に市場を操作しているため、結果として生じる超低金利が投資家のポートフォリオの構造にリスクをもたらしている。
<補足説明>
この用例も、実用例① と同じく、because of ~、while、and、as a result of ~ の定義のどれでも解釈できるだろう。
それでは with + O + ~ ing を文頭で使った筆者によるオリジナル模範翻訳で、さらに応用力、創造力、発想力を高めるための実践練習をしておこう。
【筆者によるオリジナル模範翻訳】
翻訳練習①
<原文>
世界の金融市場に警鐘が鳴り響く中、リスク資産や投資家の信頼感が毀損した場合にはいつでも安全資産としての長年の地位を反映し、米ドルは足場を固めている。
<筆者の模範翻訳>
With alarm bells ringing throughout global financial markets, the greenback has found its footing, mirroring its long-standing status as a safe-haven asset whenever risky assets and investor confidence take a hit.
”
<補足説明>
これは、while の定義の典型的な文である。
<原文>
ほんの数ヶ月前には、気候変動との戦いに勢いが出てきたようだった。しかし現在は、新型コロナウイルスによって世界経済が急停止しているため、サステナビリティは、資金が逼迫している多くの国にとって、手の届かない高級なもののように感じられる。
<筆者の模範翻訳>
Just a couple of months ago, the fight against climate change seemed to have built some real momentum. But now, with Covid-19 bringing global economy to a screeching halt, sustainability is feeling like an unaffordable luxury for many cash-strained countries.
<補足説明>
この文では、with の位置は、But now の後ろにはなるが、文頭として考えていい。
while、as a result of ~、because of ~ などの定義で解釈可能だろう。
翻訳練習③
<原文>
また、米中を中心とした軍事超大国間の緊張が世界的に高まる中、防衛費が増加し、武器関連ビジネスの技術革新を促進し、投資機会を生み出す可能性が高い。
<筆者の模範翻訳>
Furthermore, with global tension exacerbating between military superpowers, led by the US and China, it is highly likely that defense spending will rise, driving technological innovation in arms-related businesses, generating investment opportunities.
<補足説明>
この文でも、with の位置は、 Furthermore の後ろにはなるが、文頭として考えていい。
while、as a result of ~、because of ~ などのどの定義でも解釈できる。
以上、with + O + ~ ing が文頭で使われる形 を練習してみた。
5. with + O + being + p.p. (過去分詞) あるいは C (補語) 等の形
5番目は、with + O + being + p.p. (過去分詞) あるいは C (補語) 等の形も掘り下げておきたい。
with + O + ~ing の形自体にも自在に使いこなせていない日本人が多い中、特に ~ ing のところが being だとなおさら馴染みがないのではないだろうか。
だが、今日からそれは卒業して、being でも自信をもって活用してもらいたい。
あと、この being は省略可能なものと、省略できないものがあるので、その点には注意が必要だ。以下で取り上げていく各用例でも、その省略の可否はコメントしておきたい。
また、with + O + being + p.p. (過去分詞) あるいは C (補語) 等の形 として、「C (補語) 等」としているのは、その位置には、補語だけでなく、例えば前置詞句などもよく置かれるからである。具体的には、
with the project being under consideration
「その案件は検討中であり、、、」
など、being の後に、補語ではなく、the project is under consideration の構造を基にするような前置詞句 under consideration が来るケースもあるということは留意しておきたい。
以上をふまえ、まずは Financial Times からの用例確認からだ。
<Financial Times からの実用例①>
Fiscal-monetary co-ordination has been a noteworthy feature of the UK’s Covid-19 policy response, with November’s QE expansion being announced in tandem with the chancellor’s decision to extend the furlough scheme until March 2021.
<対訳>
財政・金融の連携は、英国における新型コロナウイルスへの政策対応として注目すべき特徴であり、11月のQE拡大は、英財務相による2021年3月までの一時帰休制度の延長決定に合わせて発表された。
<補足説明>
この用例での with は、while あるいは、and の定義でとらえるのが適当だろう。
そして with November’s QE expansion being announced ~ のところで with + O + being + p.p. (過去分詞) の形が来ている。
この構造をかみ砕けば、
with November’s QE expansion being announced ~ = (with) November’s QE expansion is announced
と O を主語とする受動態の文が元々にあることが分かる。
こうした受動態が基礎となるwith + O + being + p.p. (過去分詞) の場合は、being は省略可能な場合がある。
上記の用例の場合は、
with November’s QE expansion being announced ~
でもいいし、being を省略して、
with November’s QE expansion announced ~
でも問題ない。
ただ、前述したように、with + O + ~ ing の形を強く意識したい時は(厳密には、ネイティブは、そうした「形」というものには意識をしていないだろうが、、、)、with + O + being + p.p. (過去分詞) として being を積極的に残すことも多い。
では、「with + O + ~ ing の形を強く意識したい時」 とはどういう時か。
それは、その文脈の中で、「現在進行中」、「主文と同時進行」、あるいは「近い未来の行為を表す」などのニュアンスがある時である。
- ちなみに、進行形 ~ ing という文法は、(現在や過去) 進行中の行為と、近い未来の行為の両方とも表せることはぜひ知っておこう。
- ただし、ここから以下で説明する内容は、たいへん緻密で繊細な観点であり、現実にはそこまで細かく解析して being を残したり、省略したりと判断する必要はないことは強調しておきたい。実際、複雑過ぎる面もあるので。概して、O と p.p. (過去分詞) の間の受動関係は、どういう文脈でも、being をつけても、省略しても大きな問題にはならない、というのが実状にはあるとお伝えしておきたい。
それでも、より正確な使い分けをする意味でも、知らないよりは知っておいた方がよく、意識としてはもっていてもいい、という趣旨で詳細説明を続けていきたい。
具体的には、前述の Financial Times からの実用例① を例にとると、
<Financial Times からの実用例①>
Fiscal-monetary co-ordination has been a noteworthy feature of the UK’s Covid-19 policy response, with November’s QE expansion being announced in tandem with the chancellor’s decision to extend the furlough scheme until March 2021.
<対訳>
「財政・金融の連携は、英国における新型コロナウイルスへの政策対応として注目すべき特徴であり、11月のQE拡大は、英財務相による2021年3月までの一時帰休制度の延長決定に合わせて発表された。」
とあり、主文の
Fiscal-monetary co-ordination has been a noteworthy feature of the UK’s Covid-19 policy response (財政・金融の連携は、英国における新型コロナウイルスへの政策対応として注目すべき特徴であり)
と、with 以下の副文である
with November’s QE expansion being announced ~ (11月のQE拡大は ~ 発表された)
は、同時進行している文脈であることがわかる。
「~ 発表された」 のが、「~ 注目すべき特徴であり」 との文脈の前に起こったことでもなく、後のことでもない、つまり 「同時進行的」 な流れなので、こういう時の with + O + being + p.p. (過去分詞) では、being は積極的につけておきたい。
また別のより分かりやすい具体例をあげてみよう。
「同社CEO辞任のニュースが流れる中、同社株価は急落した。」
=
With the breaking news on its CEO’s resignation being aired, the company’s stock plunged.
この例などは、「ニュースが流れる中、~」 など、まさに出来事の真っ最中を表現する、進行形の受動態であるため、必ず being は残したい。
ちなみに、進行形の受動態を文として書き換えれば、
With the breaking news on its CEO’s resignation being aired = (with) the breaking news on its CEO’s resignation is being aired
である。
最後にもう1つ、being を省略していい場合と、そうでない場合との比較の中で具体例をあげれば、
① With the product developed, the company started to roll it out.
「その製品が開発されたので、同社は本格的に市場展開を開始した。」
② With the product being developed, the company was planning to develop another product.
「その製品が開発中、同社はまた別の製品開発を計画していた。」
という2文の違いがポイントとなる。
①の場合は、「(製品が) すでに開発されてしまっている」、つまり行為が済んだニュアンス なので、being はまったく問題なく省略してもいい。
②の場合は、 「(製品が) その時点で開発している真っ最中」、つまり「進行中」なので、being はつけておきたい。
それでは、この発想において難易度の高い with + O + being + p.p. (過去分詞) あるいは C (補語) 等の形を使った筆者によるオリジナル模範翻訳で、実践練習をしていきたい。
【筆者によるオリジナル模範翻訳】
翻訳練習①
<原文>
この国の平均月給は400ドル以下で、ここでの小売品の価格が信じられないほど安いのも不思議ではない。
<筆者の模範翻訳>
With the average monthly salary in the country being under $400 USD, it’s no wonder that retail goods prices here are incredibly low. “
<補足説明>
ここでの with + O + being の後は、前述したように、補語ではなく、前置詞句 under $400 USD が来る。
定義は、while、as a result of、because of などのどれでも解釈可能だろう。
ちなみに、この翻訳例は、前の段で確認した with + O + ~ing が文頭で使われる形 でもある。
翻訳練習②
<原文>
同ドイツのスタートアップは、幅広いビジネスを対象としたマルチカレンシー変換システムを立ち上げ、同銀行は、外国為替サービスを提供する最初の参加事業者となる。
<筆者の模範翻訳>
The German startup launched a multi-currency conversion system aimed at a broad array of businesses, with the bank being the first provider of foreign exchange services to be involved.
<補足説明>
with the bank being the first provider of foreign exchange services to be involved
の箇所で、with + O + being が使われ、この後に、the first provider of foreign exchange services to be involved と、補語が来ている。
構造は、(with) the bank is the first provider of foreign exchange services to be involved という文が成立しているということだ。
定義は、while あるいはand などで解釈すれば自然だろう。
翻訳練習③
<原文>
今回の資金調達は、同社の成長戦略を実行するためのもので、事業開発機能に加えて、営業部門の拡大にも投資される。
<筆者の模範翻訳>
The funding is to be used by the company to implement its growth strategy, with investment being made into expanding its sales department alongside its business development function.
<補足説明>
これは with + O + being + p.p. (過去分詞) の形で、O と p.p. (過去分詞) が受動態の関係が成り立っている。
定義は、前の練習文と同じく、while あるいは and での解釈が可能だ。
ここでの being は残した方がいい。なぜなら、being を省略してしまうと、「営業部門の拡大にも投資される」 の箇所において 「これから投資される(近い未来)」 ニュアンスから、「すでに投資されてしまった」、つまり前述した 行為がすでに済んだ ニュアンスの方が強くなってしまうからだ。
※ 進行形 ~ ing という文法は、(現在や過去) 進行中の行為と、近い未来の行為の両方とも表せることは大事な文法なので、ぜひ知っておこう。
翻訳練習④
<原文>
報復関税が課せられる中、米中貿易紛争の激化に終わりはないようだ。
<筆者の模範翻訳>
With retaliatory tariffs being imposed, no end seems to be in sight for the simmering trade tussle between the US and China.
<補足説明>
これも with + O + being + p.p. (過去分詞) の形で、O と p.p. (過去分詞) が受動態の関係が成り立っているタイプだ。
(with) retaliatory tariffs is imposed という S + be動詞 + 過去分詞の受身形が元にある。
定義は、while、as a result of、because of のどれでも解釈できるだろう。
この being は、省略可能だ。なぜなら、「報復関税が課せられる中 ~」 のニュアンスは、行為がすでに済んだ 「報復関税がすでに課せられた中 ~」 ともとれるし、「報復関税が課せられている(進行中) の中 ~」 のどちらでも解釈可能だからだ。前者的に考えれば、「すでにされてしまった」 ニュアンスを強く出すため省略してしまった方がいいし、後者的に考えるなら、残しておいた方がいい。
また、これは with + O + ~ing が文頭で使われる形 でもある。
翻訳練習⑤
<原文>
金利が相対的に変動しやすい中で、それに伴うリスクは低下していないが、昨年比では、金利変動はそれほどの要因とはならない。
<筆者の模範翻訳>
With interest rates being relatively volatile, the associated risk is not diminished, but it is less of a factor than it was last year.
<補足説明>
この翻訳例は、with + O + being + C (補語) の形だ。
while、as a result of、because of の定義として考えることができる。
翻訳練習⑥
<原文>
iシェアーズのETFは、手数料が平均的なアクティブミューチャルファンドの4分の1であることから、団塊の世代、X世代、ミレニアル世代がファイナンス目標を達成を支援することが可能だ。
<筆者の模範翻訳>
With their fees being a quarter of the average active mutual fund, iShares ETFs can help baby boomers, generation X and millennials seek their financial goals.
<補足説明>
この翻訳例も、with + O + being + C (補語) の形である。
while、as a result of、because of などのどれでもが基本定義であろう。
翻訳練習⑦
<原文>
これらのファンドは幅広い原ファンドに投資しており、少なくとも65%がアクティブ投資となっている。
<筆者の模範翻訳>
Those funds have invested in a broad range of underlying funds, with at least 65% being active investments.
<補足説明>
この翻訳例も前例に同じく、with + O + being + C (補語) の形である。
while、あるいは and などが定義となろう。
翻訳練習⑧
<原文>
失業に伴う経済的な難題がストレスの主な原因となっている中で、フィナンシャルウェルネスやメンタルヘルスを向上させるために、人々はどのようなことをすればいいのだろう?
<筆者の模範翻訳>
With financial challenges associated with unemployment being a leading cause of stress, what are some things people do to improve their financial wellness and mental health?
<補足説明>
この翻訳例も引き続き、with + O + being + C (補語) の形だ。
while の定義で考えるのが妥当だろう。
ちなみに、これも with + O + ~ing が文頭で使われる形 でもある。
翻訳練習⑨
<原文>
デジタル技術が私たちの生活のほぼすべての側面に存在しているのも同然である中、「つながっている状態」と「切り離されている状態」とのバランスの取り方を学ぶことは不可欠である。
<筆者の模範翻訳>
With digital technology being in virtually every aspect of our lives, it’s imperative that we learn how to strike a balance between “being connected” and “being disconnected.
<補足説明>
ここでの with + O + being の後は、補語ではなく、前置詞句 in virtually every aspect of our lives が来る。
定義は、while、as a result of、because of などのどれでも解釈可能だ。
この翻訳例も、with + O + ~ing が文頭で使われる形 でもある。
このあとは、念のため、with + O + being + p.p. (過去分詞) の活用において、敢えて being が省略されたケースを Financial Times と The Economist からの実用例と、筆者の模範翻訳による実践練習を通じて網羅しておきたい。
<with + O + being + p.p. (過去分詞) の being が省略された用例>
<Financial Times からの実用例>
With financial markets convinced the BoE is financing the government’s deficit, if the central bank disappoints them with the amount of government bonds it is willing to buy, there is a danger that borrowing costs could rise sharply.
<対訳>
金融市場は、イングランド銀行(英中央銀行)が政府の赤字を補填していると確信しているため、中央銀行が国債の購入額において失望させれば、借入コストが大幅に上昇する危険性がある。
<補足説明>
文頭、with financial markets convinced the BoE is financing the government’s deficit の箇所にて、convinced ~ の前に、being が置かれていない。
文脈から察して、「金融市場は、イングランド銀行(英中央銀行)が政府の赤字を補填していると確信している」 の箇所をふまえると、「~ と確信している (状態の継続中)」 との解釈が可能で、つまり 「現在進行中」、「主文と同時進行」、あるいは「近い未来の行為を表す」などのニュアンスが含まれていると判断できる。であると、being があってもいいくらいだ。
ただ、別の視点では、確信するという行為がすでに済んでしまった「~ と確信した (その結果)」 と考える場合は、being はなくてもいい。
こういう being のある、なしは、どちらでも問題ない場合が多い現実を知るには参考になる用例である。
with の活用定義は、while、as a result of、because of のどれでも解釈可能だ。
<The Economist からの実用例>
With normal life thrown off course by covid-19, you might be forgiven for ignoring economists and studying the stars instead.
<対訳>
新型コロナウイルスによって普通の生活から逸脱している中、あなたは経済学者には耳をかさず、代わりに星の研究をしても許容されるかもしれない。
<補足説明>
文頭、with normal life thrown off course by covid-19 の箇所にて、thrown off の前に being がない。
これは、文脈 「新型コロナウイルスによって普通の生活から逸脱している中 ~」 という 「~から (現在) 逸脱している」 という 「現在進行性」 の面を考慮すると、being をつけた方がいいくらいだ。 ただ、一方では 「新型コロナウイルスによって普通の生活から逸脱を余儀なくされ ~」 など、行為がすでに済んでしまった、つまり「(すでに) 逸脱してしまった」、との解釈も不可能ではなく、そうであれば being がなくても問題ない。
詰まるところ、Financial Times からの実用例と同じく、金融メディアの中でも、「私は新聞は読まない。The Economistだけを読んでいる。」と、あのビル=ゲイツ氏が評したとされる、The Economist でも、being をつけても、省略しても、どちらでも大きな問題ではないタイプの with の活用が使われている、ということである。
with 活用の定義は、while、as a result of、because of のどれでも大丈夫だ。
それでは with + O + being + p.p. (過去分詞) の活用において、敢えて being が省略された形を使った筆者によるオリジナル模範翻訳で、実践練習をしておきたい。
【筆者によるオリジナル模範翻訳】
翻訳練習⑩
<原文>
相対力指数(RSI)は、J.ウェルス・ワイルダーが考案したモメンタムオシレーターで、0~100の間で振れ、70を上回る銘柄は買われ過ぎ、30を下回る銘柄は売られ過ぎと考えられている。
<筆者の模範翻訳>
The Relative Strength Index (RSI), a momentum oscillator created by J. Welles Wilder, oscillates between 0 and 100, with stocks above 70 considered overbought and stocks below 30 oversold.
<補足説明>
with stocks above 70 considered overbought and stocks below 30 oversold の箇所にて、with stocks ~ considered と、being がない。
これは、文脈の中で、特段「現在進行中」、「主文と同時進行」、あるいは「近い未来の行為を表す」などのニュアンスというわけではなく、considered 「考えられている」との一般不変の事実を表す内容だからである。
with の活用定義は、and とするのが自然であろう。
翻訳練習⑪
<原文>
株式のバリュエーションは依然好調を維持しており、すでに高い楽観主義が織り込まれていると、ウォール街の同マルチアセット・ポートフォリオ・マネージャーは述べた。
<筆者の模範翻訳>
The multi-asset portfolio manager at Wall Street mentioned that stock valuations remained well buoyed, with a high degree of optimism already priced in.
<補足説明>
with a high degree of optimism already priced in の内容を考慮する時、日本語の原文内に 「すでに ~」 とあり、行為がすでに済んでしまった、「~ が (すでに) 織り込まれ済み」 だと、英語では already との完了のニュアンスが強調されている場合は、being はなくていいだろう。
with の定義は、while あるいはand などがフィットする。
6. with + O + 複数の ~ing が続く形
with + O + ~ ing の形を定義や構造に応じて、整理してきた。その最後のタイプとして、with + O の後に、複数の ~ing が続く形を筆者によるオリジナル模範翻訳で紹介しておきたい。
【筆者によるオリジナル模範翻訳】
翻訳練習①
<原文>
投資家が巨額の資金を失う原因となったある投資手法について調べた結果、 投資家は必要以上に大きなポジションサイズを取ったり、その実際の中身を知らないまま過度にリスクの高い資産クラスに投資するように勧誘されたり、合理的で客観的な分析ではなく、意思決定の指針として感情に委ねもし、一攫千金のスキームにも駆られ、いかに損失を出さないかではなく、稼ぐことに重きを置き過ぎていた。
<筆者の模範翻訳>
We looked into certain investment approaches that caused investors to lose massive amounts of money, with investors taking much larger position sizes than they should, being solicited to invest too risky asset classes without knowing what they really are, letting emotions guide decision-making rather than rational and objective analysis, being enticed by get-rich-quick schemes, or placing too much emphasis on making money, not on how not to lose money.
<補足説明>
見てお分かりのように、1つのwith の後に、複数の ~ ing (ここでは5つ) が続くタイプだ。定義と活用のしかたは、1つの ~ ing が使われる時とまったく同じであり、ただそれが連続的に数珠つなぎのように繋がり、文脈を構成していく。もちろん、その繋ぐことができる ~ ing の数に制限はない。ポイントは、必用とあらば、ネイティブでも冗長性とか関係なく、複数の ~ ing を連ねてライティングしてくるということである。
ちなみにここでの with の活用定義は、while あるいは and などで意味をとらえるのが自然だろう。
以上、たいへん長編になったが、絶対にマスターしておきたい英語表現法 with + O + ~ ing を大きく5つの定義と6つの活用タイプに整理して解説してきた。
これで、以前よりはかなりこの with + O + ~ ing に親しめるのではないだろうか。
本稿内、筆者のオリジナル模範翻訳および金融メディア等からの用例は 金融翻訳例文集:ワンランク上の金融翻訳 に、さらに本ブログ内すべての筆者による模範翻訳等は、金融翻訳・全項目800例文集 に網羅している。
翻訳力、ライティング力をはじめ、スピーキングなどの英語表現力も含めた総合的英語力の向上に、音読学習も取り入れながら、ぜひ活用されたい。
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