知っておきたい金融表現

<Financial Times からの実用例>

<原文>

Indeed, the sharp rebound in China’s currency this year is a clear sign the greenback is likely to weaken further against the euro and other major currencies.

<対訳>

実際、今年に入り人民元が急反発したことは、ユーロをはじめとする主要通貨に対して米ドルがさらに弱くなる可能性が高いことを明示している。

<原文>

Precious metals and the dollar tend to move in opposite directions, as a falling greenback makes them cheaper in other currencies and draws in new buyers. 

<対訳>

貴金属とドルは逆方向に動く傾向があり、ドルの下落で他通貨建てのそれらの価格は安くなり、新たな買い手を集めるからである。

<Note>

このように、歴史もあり世界をリードする Financial Times でも greenback はしっかり使われている。　ただ、そんな greenback を日本語から英語へ翻訳する際は、「グリーンバック」と翻訳することも可能ではあるが、よほどカジュアルな読み物でない限り、基本的には「米ドル」、「ドル」などと翻訳する点には留意しておきたい。 

<Financial Times からの実用例>

<原文>

Tensions over the UK’s trade talks with the EU have hit sterling hard for the second consecutive day.

<対訳>

英国のEUとの貿易協議をめぐる緊張感によって、スターリングは、2日大きく続落した。

<原文>

The pound dropped almost 1 per cent against the dollar to hit a low of $1.3043, taking its losses so far this week to 1.74 per cent. 

<対訳>

ポンドは、対ドルでおよそ1％下落し1.3043ドルの安値をつけ、今週ここまで1.74％値下がりしている。

<Note>

Sterling を英語から日本語へ翻訳する場合は、「スターリング」とそのまま翻訳も可能ではあるが、実際には、「スターリング・ポンド」、あるいは「ポンド」と翻訳する方が多い傾向にある。

<Financial Times からの実用例>

<原文>

Last week the Aussie dollar hit a new 10-year low against the US dollar, shedding some 0.8 per cent in a single day after unemployment in January ticked slightly higher.

<対訳>

先週、1月の失業率がわずかに上昇した後、豪ドルは対米ドルで10年ぶりの安値を記録し、1日で約0.8％の下落となった。

<原文>

The Aussie had become one of the critical barometers of global health.

<対訳>

豪ドルは、グローバルヘルスの重要なバロメーターの一つとなっていた。

<Note> 

Aussie、あるいは Aussie dollar を英語から日本語へ翻訳する場合は、「オージー」、あるいは「オージードル」とそのまま翻訳することは少なく（特にフォーマルな翻訳が求められる場合。　ただ、ブログ記事、メールなどなどカジュアルな翻訳ではまったく問題なくそのまま翻訳可能。）、「豪ドル」や「オーストラリアドル」などと翻訳することがほとんどである。

<Financial Times からの実用例>

<原文>

The abundance of liquidity from central banks in the form of bond-buying programmes has also allowed riskier assets such as the Kiwi dollar to outperform peers.

<対訳>

債券購入プログラムという形で中央銀行が供給する豊富な流動性により、キウイドルのようなリスク性の高い資産が他通貨をアウトパフォームするようにもなった。

<原文>

The kiwi rose as much as 0.9 per cent to $0.684 following the release, while the dollar index measuring the greenback against a basket of peers was basically flat on the day.

<対訳>

キウイは発表後、0.9%も上昇し0.684ドルとなったが、通貨バスケットに対する米ドルを測るドルインデックスは終日、概ね横ばいで推移した。

<Note>

Kiwi も、他の通貨のニックネームと同様、英語から日本語に翻訳する場合は、よほどカジュアルな読み物でない限り、「ニュージーランドドル」、あるいは「NZドル」などと翻訳する方が無難だ。　ただ、稀にメジャーな新聞等でも「キウイ」と記載されることもあるので、その点は知っておきたい。例えば、下記の記事は、日経新聞からの抜粋である。

「オセアニアの2通貨が上昇争いを演じている。ニュージーランド（NZ）ドル（通称キウイ）は今月13日の利上げをきっかけに買いを集めて先行したが、、、、（省略）、、、、両通貨でみると昨年はオージー安・キウイ高一辺倒だった。隣国といっても、NZドルは先進国で最も早く利上げすると目された国、かたや豪ドルは追加利下げ観測がくすぶっていたためだ。」

ということもあるので参考にしよう。

<Financial Times からの実用例>

<原文>

The loonie hit its weakest level against the buck since January 3, at C$1.3521 to the US dollar, before trimming its losses to trade 0.3 per cent lower.

<対訳>

カナダドルは1ドル＝1.3521カナダドルと、1月3日以来の最安値を記録したが、その後下落幅を縮小し0.3％安で取引されている。

<原文>

The loonie, as the Canadian dollar is called colloquially, reversed a 0.2 per cent advance to trade 0.4 per cent lower.

<対訳>

カナダドルが通称で呼ばれているloonie (ルーニー)は、0.2％上昇の後、反転下落し、0.4％安となっている。

<原文>

Canada’s dollar, nicknamed the loonie after the bird that features on the currency’s coinage, rallied some 3.9 per cent in January, handing it its best month since June 2017 and its best start to a year since at least 1971. 

<対訳>

その硬貨に描かれている鳥にちなんだルーニーの愛称で呼ばれているカナダドルは、1月におよそ3.9％上昇し、2017年6月以来の最高の月となり、少なくとも1971年以来、年度最高のスタートを切った。

<Financial Times からの実用例>

<原文>

This removes most of the volatility in the cable rate between the dollar and the pound.

<対訳>

これにより、ポンド／ドル為替レートのボラティリティの大半が消滅している。

<原文>

If passed, the pound could strengthen further lifting cable towards the $1.3300-level.

<対訳>

可決されれば、ポンドは一段高となり、ボンド／ドルは1.3300ドルレベルへと上昇する可能性がある。

<Note>

Cableも他の通貨ニックネームと同様、日本語へと翻訳する際、その翻訳文書のフォーマルさが増すほど、「ケーブル」とは訳されなくなる。　ポンド／ドルやGBP/USD　などと翻訳するのが無難だ。　ただ、Financial Times をはじめ、欧米でもメジャーな新聞等では頻繁に登場することは知っておきたい。つまり、「ポンド／ドル」を英語に翻訳する場合は、GBP/USD や The Pound-Dollar として一辺倒でなく、cable も使っていいわけだ。