知っておきたい金融表現

【知っておきたい金融表現】の第1回は、jawbone あるいは jawboning。金融、経済報道で突出した信頼性を誇る Financial Times など、欧米経済紙でも散見される語彙の1つであるが、日本人ではあまり使いこなされていないようだ。jawbone あるいは jawboning とは、(authority (権威) 等を利用して)圧力をかけたり、説得すること、つまり金融・経済分野では、「口先介入」を意味し、verbal intervention と共によく使われている。 

英英辞典でも、

Oxford dictionary:

use one’s position or authority to pressure (someone) to do something

Cambridge dictionary:

to talk to someone, especially to try to persuade them to do something:

と定義されている。

仮にこれらの語彙を知らなければ、おそらくpressure や、persuade などなどありきたりで、中学、高校英語の域を出ないものになってしまいがちであろう。

では、本ブログではいつもお馴染み、このjawbone/ jawboning を使った筆者によるオリジナル模範翻訳で、さらに応用力、創造力、発想力を高めるための実践練習をしておこう。

その際、筆者の模範翻訳には、対象語彙のみならず、その前後には多種多様な金融表現や言い回しがぎっしり詰まっているのでぜひ翻訳の参考にされたい。

※ 原文の内容はすべて筆者のオリジナルである。日々世界で起こる膨大な情報ソースを基にしての着想により、金融、経済、社会情勢、あるいは数値などを含め、筆者独自の言葉で創作したnon-fiction  (ノンフィクション) もあれば、fiction (フィクション) もある。

【筆者によるオリジナル模範翻訳】

練習①

<原文>

「通常の口先介入としては、総裁は7月下旬での声明で、ECBが物価安定目標を押し進める中で、リスクを回避する保険のような措置を好むことを示唆していた。」

<筆者の模範翻訳>

In the normal course of jawboning, the president included in a statement in late July the suggestion that the ECB favors risk-preventive, insurance-like measures as it continues to push for its price stability target.

練習②

<原文>

「来週、米ドルは2%程度下落するかもしれないが、長期的に見れば、それほど口先介入の影響を受けやすいというわけではない。」

<筆者の模範翻訳>

While the greenback may weaken roughly 2 per cent next week, over the long-term, it is not that susceptible to jawboning.

以上、「口先介入」や「説得工作」の翻訳として、ぜひ jawbonejawboning を使ってみよう。

また、本稿内、筆者のオリジナル模範翻訳は 金融翻訳例文集:知っておきたい金融表現 にすべて網羅している。

翻訳力ライティング力をはじめ、スピーキングなどの英語表現力も含めた総合的英語力の向上に、音読学習も取り入れながら、ぜひ活用されたい。